GCC四国の第2回勉強会(株)マルブン眞鍋会長のお話

2025年4月18日(金)GCC四国の第2回勉強会が、フリースペース・ジョープラにて『時代に合わせた革 新と理念の追求』と題して、株式会社マルブンの眞鍋明会長を講師にお迎えして開催された。
眞鍋さんのお話は何回も聞いたことがありますが、毎回新たな学びや気付きがあり、今回はそんな中から私が特に印象に残ったことをピックアップしてみよう。
今回の講演の特色は、GCC四国を事務局長としてサポートしてくれている(株)カイシンの牧野社長のFACEBOOKの4月20日の投稿がよくまとめられていると思う。一部抜粋すると
「マルブンさんがすごいのは、創業の精神、理念から、ビジョン、指針、制度、まで一貫した組織づくりをしていること。」
良い会社を作るとはどういうことか。良い会社の定義はおそらく人によって様々であり、例えば愛媛から日本全国いや世界中に飲食店をチェーン展開させて、店舗数や従業員の数の増大を目指すというのも一つかもしれないし、店はあくまで1店舗でミシュランの3つ星のような高級なお店で高い単価の料理を出すというのも間違いではないだろう。そして、店の方向性を決めるのは経営者であり、従業員を束ねていくのが企業理念で、その企業理念に魂がこもっておらず魅力がなければ、単なる絵に描いた餅に過ぎなくなる。
企業理念は置いておいて、(株)マルブンのビジョンはスモールグッドカンパニーを目指すということだそうだ。もう少し詳しく言うと
① ローカリー Locally(地元を大切に)
② デザイナーフード Designer foods project
(ファイトケミカル) Phytochemical(がん予防や健康効果の高い食品を扱う)
③ パーソナルサービス Personal services(マニュアル化されたものではないここに合わせたサービスを提供する)
④ ファストカジュアル Fast casual(レストラン並みの食事やサービスを手ごろな価格で提供する)
⑤ ハンドクラフト Hand craft (冷凍食品などではない手作りの料理の提供)
というもので、これを見ればどのような会社を目指すかは、ほぼ了解できるのではないか。
それから、印象に残った言葉として「経営は変化対応業」というもの。
(株)マルブンも102年前の創業時は、旅人をもてなす遍路宿だった。それが大衆食堂になり、今はイタリアンレストランといった業態になっている。
ここで眞鍋さんが例であげたのが、ミシガン大学ビジネススクールの教授でもあったノエル・M・ティシー氏の「コンフォートゾーン」という考え方。
「人は変化を嫌う。人はリスクを冒すことを恐れ、自分にとって居心地のいい領域でしか活動しなくなる。この快適領域を「コンフォートゾーン」といい、 その外側を「ラーニングゾーン」、最も外側を「パニックゾーン」と呼ぶ。
コンフォートゾーンにいる限り、無理をする必要はない。ストレスを感じることも少なく、日々同じことを繰り返していくので業務で失敗することもほとんどない。
一方でその外側にあるラーニングゾーンに身を置くとこれまでのスキルでは通用しなくなる。」
ティシーは『ビジネスパーソンとして成長していくためには、ラーニングゾーンに身を置くこと』だと提唱した。さらに外側のパニックゾーンに陥るのは、悪いことだと思われがちだが、変化し成長するきっかけになる、というもの。
なるほど、今どきタイパだのコスパだの言っている若い人に「苦労は買ってでもしろ」などと言っても、無視されるだけだろうが、これは説得の材料になるな、と思った。
その意味では、コロナはある意味大チャンスという考え方をしたそうだ。
世界大戦や関東大震災なみの大惨事、経営環境の激変、幹部5人と5日間徹底的に話し合い、結果できないことは悩まないで、できることを実行することしたという。(テイクアウト、IT化、DX化の推進など)
しかし、現場を変化させてくれるのは社員さんとスタッフであり、理念が浸透していないと方針通り社員は動かない、かつて多くの外部の関係者に絶賛されたマルブンの経営方針書は社員は一度も開けたことがなかったということで、それは眞鍋さんにとってもショックで、横文字を使用しない、低いレベルの従業員に合わせた方針書を作るようにしたという。急いだ変革は会社を壊す、人はすぐには育たない、思い通りには育たないものだと認識してないとダメ、多くの人は「説得しようとする」これに人は反発する、「納得してもらう」ようにしなければならないということだ。
それで眞鍋さんは自社の社員がどのような社員になって欲しいかと言えば「自立した社員」だそうだ。では、「自立」の定義はどういったものかと、以前眞鍋さんは、たまたま機会があって同席した脳科学者 茂木健一郎に問いかけたところ、茂木さんは「複数人との関係性において、自分の役割を全うすること」「自分のできること、できないことを認識し、仲間
と補い合い、個性を発揮すること」と明快に答えられたそうである。
自立と言っても結局は、回りの人との関係性にあるということだろう。
今回はこんなところで終えよう。眞鍋さんのお話は今まで何度となく聞いてきたが、いつ聞いても新鮮で色んなことを考えさせてくれる、それは決して現状に満足することなく、常に勉強し続けているからだろう。そういった姿勢素晴らしいなと思った。
参加者の心に火をつけてくれた、素晴らしい内容でした。勉強会の後の懇親会も、大いに盛り上がりました。眞鍋会長あらためてありがとうございました。