2025年3月10日有限会社ライトライズ卒業式

2025年(令和7年)3月10日(月)、千葉県八千代市の勝田台文化文化センターで、有限会社ライトライズさんのアルバイト生の卒業式があり、昨年に続いて2年連続で参加させていただいた。その時の模様、感じたことなど記しておこう。
千葉県で居酒屋7店舗を出店している有限会社ライト・ライズの経営理念は、「人が幸せになる在り方の追求」「両親、友達、職場の仲間を大切に、多くの人から応援され協力してもらえる人になるようそんな生き方をしよう」といったもので、どのような取り組みをしているかは過去私がベンチマークした際に書いたコラムなど参考にしてもらえればと思う。https://www.iyojinpon.com/.../%e6%9c%89%e9%99%90%e4%bc%9a...

寺本社長は、卒業してアルバイト先から去っていく学生たちにかけた言葉は      「接客のプロとしてこの人にまた会いたいと思える、回りの人を喜ばせる人になって欲しい。ずっと作業でなく仕事をして欲しい。自分の意志で生きて欲しい。そして出来るなら辞めた後も僕らに相談に来ることも選択に入れて欲しい。困ったときにみんなに頼りになれるような存在になるために自分たちも頑張りたいし、努力したい」
この挨拶を聞いた時に昨年9月に訪問した長野県の「岩の湯」で金井社長が言われたことを思い出した。「企業経営とは銭の関係、他人の関係、だから本質的に冷たい関係なのだと。家族には「血」が、友人なら「友情」が、恋人なら「愛」が、人と人とを繋ぐものある。結ぶものがないと強い思いがない。それなりと当たり前が横行する。異なる生き方をしている社員全員が共感できる核が必要でいかにこれを社員と共有できているかが大切だ」
従業員は会社に労務を提供し、その対価として賃金を受け取る、完全な銭の関係なのだ。寺本社長の言葉は、そんな銭の関係を否定し、もっと違った濃い関係を辞めた従業員との間に求めているのだ。これが正しいことなのかどうなのか私には分からない。しかし、ここで働く若い社員、アルバイトたちが実に幸せそうな表情を浮かべていることも事実だ。
卒業式は進んでいき、笑いと涙が交錯する場面がたびたび出てくる。店長から卒業生に「Aがいたから店がうまくいったし、Aなしではやっていけなかった。本当にありがとう」卒業生から「3年前何をやってもやる気が起きず、漫然と生きてきた私を、Bさんは変えてくれた。私もBさんのように誰かと真剣に向き合い頼りにされる人になりたい」などなど。これを青臭くてやってられないと感じる向きもあるだろうが、その代わりに冷笑主義になり、ニヒリズムに陥ることは、より不幸を深くするだけだろう。

もう一つ、非常に印象に残ったシーンがあった。こちらで福祉部門のトップである梅田さんが卒業式後の懇親会の中で福祉部門の業務の詳細や、さらなる展開について前で説明し始めた時、お酒も入って大いに盛り上がっていた参加者が一様に静かになり、真剣に話に耳を傾けだしたのだ。「人が話をする時は私語を控えて聞く」この基本的なマナー。
普通こうした場合、中々気持ちの切り替えを、全員に徹底することは難しい。ましてやただでさえ歯止めが利かない10代20代である。私が通った高校は校則等やたら厳しく、威嚇と暴力で生徒を従わせていた。今となっては言っていることも分かるし、「後になれば厳しくした理由も分かってくれる」とも考えたのだろう。しかし、当時は本質を理解できず、服従と秘めた抵抗感しか醸成できなかったような気がする。
ここの学生たちは威嚇と暴力と言う手段で教育されたのだろうか。私はそうは思えない。今度何か機会があれば聞いてみようと思った。

様々な疑問や課題を抱えて帰途に就いたのだが、別に不快な感じではない。私が今回も卒業式に参加しようと思ったのは、組織や社風のつくり方を学ぶというのもない訳ではないが、昨年卒業式に参加した際の、おもてなしを嬉しく思い、我が家で採れた愛果28号(紅まどんな別名)を送ったところ、大層喜んでくれたので、再度訪問する気になったという単純なものである。美味しい食事、食べ物は人を幸せにし結びつきを強くするのだな、などと考え、これからもずっと付き合っていきたい人たちだなと思った。