「誰がために憲法はある」「金子文子と朴烈」を見る

10連休は全く家から出なかったので、映画を見に本日シネマルナティックへ。午前中は「誰がために憲法はある」、

監督の井上淳一氏が舞台挨拶、せいぜい観客は30~40人程度なのにこんな地方にまで来て、自身の思いを熱く述べていた。

映画が終わってパンフレットにサインをしてもらって、「映画の主題歌がパンタの『さようなら世界婦人よ』だったですね、昔彼のライブによく通いました」なんて話をしたが、あの若松孝二監督のお弟子さんとは思えない腰の低い誠実そうな人柄に見えた。

 

 

 

午後は「金子文子と朴烈」、韓国で235万人を動員し多くの映画賞を受賞した作品である。

関東大震災の混乱の中、アナーキストであった金子文子と朴烈を、戒厳令下で発生した朝鮮人大虐殺を隠蔽するために、

日本の内閣は皇太子暗殺を計画したとして裁判に持ち込むのだが、二人は自分たちの誇りのために獄中で戦うことを決意し、

強大な国家に立ち向かった実話である。

この映画の前に金子文子の獄中手記「何が私をこうさせたか」を読んだが、彼女の不幸な人生が凄まじい。

まともな教育など受けさせてもらえなかったにも関わらず、すぐれた文才を見せ、

裁判でも天皇制と日本帝国主義を論理的に堂々と批判した。このような女性が大正時代にいたのが驚きであった。

シリアスなテーマを扱っていながら、娯楽映画としても1級品で2時間余り息もつかせず見終わった。

私はかつて韓国映画は「シュリ」を見たとき、面白くなかったので大したことないのねと思っていたが、

この映画は全く違う。作品のテーマ上メジャーな映画館での上映は不可能だろうが、おすすめの映画であった。