自社の『よい社内環境づくり』を見つめ直そう~働く環境と労使の信頼関係~

一昨日の18日(金)ピュアフル松山にて、愛媛県中小企業家同友会松山支部総会があり、
中同協経営労働委員長で香川同友会の副代表理事、香川県ケアマネージメントセンター(株)の
代表取締役 林哲也氏の「自社の『よい社内環境づくり』を見つめ直そう~働く環境と労使の信頼関係~」
と題した報告があった。
大変、刺激的で得るものの多い報告であったので、印象に残った言葉をまとめておく。

◎2016年の中同協の調査では就業規則の作成・見直しを実施している企業の方が、最近1年間の業況が
黒字基調とする回答が高くなっている。法令を遵守し、自社の労働環境改善の取り組みに心配を怠らない
企業の雇用戦略が、業況にプラスの影響を与えている可能性がある。

◎就業規則は法改正になってから取り組むのではない。当社は9月決算、11月に社員総会があるのだが、
総会に沿って変える。就業規則は毎年社員と一緒に見直している会社ほど業績がいい。
例えば当社は去年インフルエンザの社員が多く出たので、一部就業規則を見直した。
本人は出勤停止、家族が罹患した場合は隔離部屋を作って、仕事をさせることにした。
こういうことを社員と話し合いながら実態に即した就業規則を作り上げていっている。

◎「会社を守る就業規則」などといううたい文句が見られるが、「従業員は敵だ!」
といっているようなものではないか。
自主・民主・連帯の精神で人間的な関わりを目指す同友会とは考え方が異なる。

◎自身の経験に照らしてみても、従業員は5人までは一人雇うと経営者の収入がゼロになる。
3年目までは妻の稼ぎに依存していた紐状態だった。
こうなると自分の給料を下げて雇っているのだから、働いて当然、売上を上げろとなり、
労使の信頼関係など築けず、離職が相次ぐということになる。

◎固定残業制は何年か前に流行ったが、当時は基本給を下げる目的もあった。
今は社員の給料を下げないという意味合いもある。
時間外手当については、例えばコンビニでペットボトルを1本持って帰ったら犯罪である。
サービス残業が当たり前はおかしい。
そうはいっても、テキパキ仕事をこなす社員よりも、仕事の遅い社員が結果的に、
給料が多くなるのは問題ではないかという意見はもっともだが、
それは残業が多い従業員のその原因は何か、経営者がそれに寄り添って解決をはかるべきであって、
残業代を支払わないことですませてしまうのは間違っている。

◎「給料はコストか?」
コストは安ければ安いほどいいし、削減のための工夫は善である。
しかし、給料も安ければ良い会社か?
今は一般管理費の中に「給与」など人に関係する費用がまとまっている。
近代の経営指標では人件費も「コスト」の一つとされているが、
人件費を一般管理費と明確に区別する損益計算書を作ってはどうか。

◎経営指針が根付かないのは、従業員の側がきれいごとを書いてはいるが、
結局はもっと自分たちを働かせるために作ったのではないか、勘ぐっているから。
就業規則作成運動を同友会が推進しているのは、従業員を交えて就業規則を見直すことで、
労働環境を改善し労使の信頼関係を作り上げ、経営指針の実践の新時代を切り開きたいから。


報告の後、林さんと名刺交換などさせてもらったが、その際、
こういった形の就業規則に社労士が関わるには、自身も従業員を雇用し経営者の気持ちが分かる社労士でないとダメで、
言われたけれど私は人を雇用などしてないのだが、しかし、これを機に雇ってみて自分を成長させてみてはどうかと、
励ましていただいた。
私は事務所の規模拡大には消極的だったが、正直今は毎日22~23時くらいまでの仕事が常態化しているので、
どうすべきか考えあぐねていたところだった。
だが、昔の林さんのように、自分の取り分をゼロにすればできないことはないだろう。
その前に業務の洗い直しをして、効率化しなければならないのだが。

中同協が「働く環境づくりのガイドライン」を作成して、就業規則の作成を経営指針の実践強化に役立てようとしているのは、
知っていたが読んでも私は十分な理解がえられなかった。
しかし、この日の報告は随分分かりやすく、今後の仕事の進め方にも大きな示唆を与えてくれた。