辺野古にて

10月18日の14時30分も過ぎていただろうか、
辺野古の「座り込みテント村」を訪問する。
11日に米軍ヘリが墜落したこともあり、さぞかしこちらも盛り上がっているかと思いきや、いたって静か。
どうも衆議院議員選挙の真っただ中で、多くの運動家たちがそちらに行っているからだとか。

そこに交替で駐留しているという地元の活動家の方に辺野古基地反対運動の概要や歴史について教えてもらう。
その内容を簡単にまとめると
@普天間基地の移設先として辺野古が選ばれたという報道のされ方が本土ではなされているが、これが誤り。
辺野古に米軍基地の一部が移管されて縮小されても普天間が廃止されるわけではない、1960年代から辺野古を埋め立てて新基地を作る計画は進んでいた。
なぜか。沖縄は遠浅の海で、大きな軍艦がとめられる軍港が少ない。ところがここは遠浅はちょっとで、沖に出ればすぐに海溝が深くなるから。
@辺野古には普天間にない弾薬搭載エリアや巨大な兵員宿舎が建設予定。
さらに従来は200メートルだった岸壁が強襲揚陸艦が接岸可能な272メートルに変更された。
これらが当初の計画ではあきらかにされず後出しジャンケンのように出てくる。
@この基地はあきらかに普天間の代替ではない、
自国の防衛といういうよりは、世界へ戦争に打って出るだめの出撃拠点である、そのようなものを作れば戦争になれば敵国に真っ先に攻撃され、また恨みを買うもととなる。
@このアメリカの基地を日本が大金を使って建てる理由は何か。
将来的にはアメリカが撤退してもそこを自衛隊が使いたいから。基地のない島が沖縄の願い、このような頑強な基地ができたら、未来永劫沖縄は基地が残ることとなる。
@そのような基地を作るより民間に開放し、レジャー施設、商業施設など作った方が住民は豊かになる。
基地に沖縄住民が経済的に依存していたのは昔のはなし。
今は基地が撤退しても跡地はかえって有効活用され経済的に潤っている。
@むろん、ジュゴンの生息する環境を守ろうという目的で反対運動に来ている人もいる。
ただ、多くの反対の人は日本が中東やアフリカの戦争に加担し、巻き込まれることを警戒している。
@基地建設のもう一つ目的は建設工事利権。埋め立て工事には大きな金額の建設費が動くから。
工事を受注したのは、大成建設・五洋建設など。
大成建設には菅官房長官の子息も勤務している。

などなど。

ネットで「辺野古」「座り込み」を検索すると、「実際は地元の人は賛成してるんだよ、反対運動してるのは本土からやってきた左翼活動家で迷惑してるんだよ」みたいな情報ばかり上位に来る。
でも、それでは基地反対派の翁長知事が選出され、今回の衆議院選挙でも基地問題が深刻な1区から3区の当選者は全て基地反対派である理由が説明できない。

今回、知り合った沖縄の人の何人かに辺野古のことを話してみたが、「反対運動はプロ市民の仕業」といった反応をした人は皆無だった。
強弱はあれ、基地問題を深刻な沖縄の問題として捉えている人ばかりだった。

近年挑発が酷くなってきた北朝鮮、膨張政策で近海で他国と小競り合いを行っている中国などのことを考えると、強固な基地の新設というのも分からないではないが、国土の防衛の観点からこれ以上の基地が沖縄に必要なのか、この設備や規模は辺野古は適切なのか、これらの点、今の私には判断するだけの知識はないが、少なくても多くの沖縄県民が反対しているにも関わらず、札束で頬をひっぱたくようなやり方で、強引に工事を推し進めている現政権のやり方には、私は賛同しかねる。

この日はバスを仕立てた韓国YMCAもテント村を見学に来て話を聞いていた。
韓国も基地問題では色々とあるみたいだから。

目にした辺野古の海は青く美しかった。今度来たときはここでダイビングできないだろうか。
ただ、工事の影響で茶色の濁った水も混じっていた。
上空にはヘリコプターが結構低空で30分おきくらいに飛んでいて、そこだけまったりした雰囲気の中で緊張感が走った。