株式会社高橋ふとん店

5月16日(火)~17日(水)の2日間、「壺中100年の会in徳島・香川」と題したベンチマークツアーに参加したので、
その時、学んだこと感じたことなどレポートしておこう。

今回のツアーの初日に、「寝装・寝具店」「ブライダルビジネス」というマーケットが縮小している業界で、
徳島に根を張って増収増益を続けている会社を2社訪問した。

1社目は「株式会社 高橋ふとん店」。
徳島空港のすぐ近くに会社の本部があり、飛行中、空港に降りった時、社屋に書かれてある社名等が実によく目立ち宣伝効果は抜群だろう。

 

さっそく本部で研修となり高橋社長のお話が始まったが、一人一人に席に手書きのメッセージ付きのお菓子が置いてあり、ホスピタリティーが素晴らしい。
座学のあとでは実際に一店舗を訪問し、店内を見学させていただいた。

 

「寝装・寝具店」は日本全体で平成元年には、21,000社あったのが平成25年には5,000社となり、
しかもその中には看板だけあげて実際にはまともに仕事をしていないところもあるので、
実質は3,000社ほどであるという。
そんな中でバブル崩壊後の20年間で(株)高橋ふとん店は業績を5倍に増やしたというまさに奇跡のような会社である。

後継者であった現在の高橋社長が県外から帰って親御さんがされている(株)高橋ふとん店に入社したのが平成12年。
その年から新卒採用を始めたが、新入社員が中々定着しない。
4年目には11人採用したがあっという間に9人が辞め、
さすがにこの事態には「辞めた奴が悪い」という慰めは通用せず、
「これはどう考えても自分が悪い」ということに気づいたのだという。
そして、高橋社長はどのように会社を変えていったか。
高橋社長の言葉を思い出しながら、並べてみる。

1.「採用と教育は一体」
自社にマッチしない人材を雇ったら、お互いに苦労させられる。
理念に合致した人材に働いてもらうことが大事。2001年に企業理念を作ったがそれは社長一人が作ったので、社員と共有できなかった。
2013年に再度作り直した。
入社して「ふるいにかける」のは間違っている。「ふるい」は採用時にかけるものだ。
本人が辞めたいと思うまで、会社は辞めさせない。

2.「社員共育」
それまでは会社の都合のいいことばかりを教え込む教育だった。
そこで社員研修の内容を刷新し、入社時、3カ月、6か月、12か月、18か月経過時にきめ細かく研修を実施していくことにした。
入社後のそれぞれの経過時点で、どういうことで就業継続に不安や悩みを感じるのか聞き取り、新卒社員に寄り添うような内容にした。
社員は被雇用者ではなく、共に社会貢献をしていく仲間だ。
会社と社員はともに育つというスタンスで「教育」ではなく「共育」、「会社の成長=社員の成長」と考えている。

3.「社長の一番大事な仕事」
一つは頑張れば報われる仕組みづくり。
社員に頑張れといっても縮小市場や二番手以降でやっていても中々成果が出せない。
常にニーズのある方向で事業を組み立て、社員の努力が報われる仕組みを作る。
そしてその評価を公平に行う。
二つ目は楽しく働ける環境づくり。
楽しく働ける職場、動機づけの方が仕組みや枠組みを作ることより重要ではないか。

4.「僅差を重ねる」
当社が時代の流れにうまくのったのが成功の要因だったのは否定しない。
徳島・香川での売り上げが45パーセント(ネットも入れると50パーセント)、
売り上げの半分が県外で楽天やアマゾンのネット通販にいち早く対応できた。
しかし、ネットでの販売は「サイズがピッタリ」は可能だが、
「あなたにぴったり」は店頭での接客でないと難しい。
この業界での接客で本当に一人前になるには10年かかる。
大手ではそのような面倒なことはしないし、できない。
我々は時間をかけて人を育てている。
これは「共育」のみならず、当社のすべてにあてはまる。
「ゼロ」を積み重ねても「ゼロ」だが、「微力」を積み重ねていけばやがて遥かな高みに達する。

高橋社長は中小企業家同友会に以前から入会され、2011年に坂本教授や小林先生に出会いさらに開眼した部分があるという。
その点では私と共通点があるな。まあ、実績と能力、仁徳では天と地ほど違いがあるが。


ツアー1社目から感動のスタートだった。