壺中百年の会 in 四国」二日目はネッツトヨタ南国(株)

「壺中百年の会 in 四国」二日目の11月11日(金)には、ネッツトヨタ南国(株)を訪問したのでその時のことを少し記しておこう。
よくご存じな方は今更なのだが、全国トヨタ販売店の中で平成11年以降ずっと顧客満足度1位を続け、少子化、車離れといった成熟業界でありながら、売り上げを右肩上がりに伸ばしている伝説的な会社である。
経営理念の一つに「全従業員を人生の勝利者にする」といった一文がある。
ここには、自動車ディーラーにありがちな、ノルマに縛られ販売台数を棒グラフに示して朝礼時に、上位者を拍手で讃えるといった文化はない。
ネッツトヨタ南国(株)では1980年創業以来以来飛び込み訪問は一切禁止しているそうである。
そのかわり、ショールームは広々して無料で出されるコーヒーは専門店なみに美味しく、試乗車は最大2日間で48時間借りられ全車種揃っており、車種によっては色違いのものまで置いているという徹底したサービスぶりである。

そんな創業時の社長で現在は相談役の横田英毅さんの9:30から12時過ぎまで色々とお話をしていただいた。
お話の中で一番力点を置かれていたのが、「満足」と「幸せ」の違いであった。
その部分を要約してみる。
「よく『顧客満足度』(CS)や『社員満足度』(ES)を高めなければという。
しかし、満足度を精一杯高めるということは、と車の値段を思いっ切り下げて、いいサービスをし、社員の給料を言われるままに上げて、休みを増やすということだ。そうしたら会社はつぶれる。
子供を間違いなくダメにする方法がある。言われるがままに欲しいものを買い与えることだ。
それは子供を不幸にする。経営者の使命は社員を幸せにすることだ。満足度を上げることではない。
国民の経済レベルが日本よりはるかに下のブータンの国民は90パーセントの国民が自分を幸せだと感じている。
日本は若者の自殺率はこの20年間で世界トップに躍り出ている。
経済的豊かさが必ずしも国民を幸せにはしない。
職業人としての幸せは『働きがい』を感じることであり、経営者の仕事は『働きがい』の感じられる職場環境を作り出していくことではないか。
仕事をしていて『自分の成長が実感できる』『自分で考えて仕事をすることができる』『自由に意見がいえる』
『自分を明確に評価してもらえる』『職場の人間関係、上下関係が良い』などなど。
『社員が幸せになる(目的) → 手段としていい給料をとらなければならない。(目標)→ そのために一生懸命に働く(事実)』
は、いつしか『給料のために働く』になってしまい、嫌々働くといった状態になってしまう。
こんな状態が幸せなわけがない。
目標を目的にしてしまうわけだ。2つを混同しないように注意を払ってなければならない」

 

ネッツトヨタ南国(株)での昼食は、おかずのたくさん入ったお弁当、カツサンド、カツオのたたき、お味噌汁、といった豪華なもの。この内容で1000円とは!こんなところにもホスピタリティーの高さを感じた。

セミナールームで昼食後、社員の方に社内を案内してもらったのだが、
駐車場には1台1台駐車するスペースを示すラインを引いておらず、これは場面場面で駐車する場所を社員が考え、
来店時のお客さんを案内するためだということである。
ショールームの扉を自動ドアにしないのも、お客さんが来店したとき帰るとき、素早く社員がドアを開けてあげるようにするためで、
お客さんの様子をいつも気にかけて対応するようにしているとのことだった。
いちいち上司が指示命令せず、失敗しても自分の頭で考える習性を身に着けることが大切だからということである。
マニュアルで縛ると丁寧でソツがなくミスもない、どこにでもある面白みのないショールームになってしまうからということである。

2日間で2つの会社を見たが、どちらも原点は「社員を幸福にしたい」という社長の思いからスタートしている。
世の中こんな会社ばかりになれば、日本も変わってくるだろうなと思いつつ、ネッツトヨタ南国(株)の社員のお見送りを受けて、高知を後にした。