2022年壺中100年の会in伊那 菓匠shimizu

2022年11月8日壺中百年の会in伊那の最初のベンチマーク先は菓匠shimizu、
「地域を大切にし、日本中の子供たちに夢を与える菓子店の感動の取り組みに触れる」
ということで3代目オーナーシェフ清水慎一社長にお話を伺いました。
小さいころから家業は継ぎたくないと思っていたが、諸々あって今はご先祖さまの作った会社の社長になり、
より一層発展させていること。
大学生時代に後継となることを決心し、同業種に修行に出たところ、怒られる、殴られる、者は飛んでくる、
の散々な修業時代であったこと。
話す音量が大きく、バイタリティーにあふれている事などなど。
愛媛のイタリアンレストランのオーナー社長の眞鍋さんに似ているなと思いました。

印象に残った点を2つ。「他喜力」と「減収増益」

世の中には、仕事・恋愛・勉強・スポーツなどで夢や目標をもち、それに向かって努力を続けている人たちがたくさんいます。
ところが、同じようにがんばっていても、成功する人もいれば、逆に、まったく報われずに終わる人もいます。
その違いは、実は「他喜力」の有無にあるのです。
うまくいかない人は、自分を喜ばすことしか考えていません。一方、成功している人というのは、
他人を喜ばす方法を常に研究し、それをいつも実践しているから、豊かで幸せな人生を手に入れられたのです。
というツキのカリスマ西田文郎先生の教えを聞いて・・・

若い時、海外も含め多くの店で修行しコンクールで賞などもらって意気揚々と親元に帰ってきたが、
親や古参社員と仕事のやり方の違いを巡って対立し、一日中一言も職場で口を利かなかったこともあった。
見かねた奥さんの祖母に「働くというのは、傍を楽にする」ということだ」と忠告されたそうです。
当時はピンと来ながったが、「他喜力」と「傍楽」がつながったと思ったそうです。
周りを変えようとしたり、それを期待するのではなく、自分が変わらないとダメだと。
そこで当時世界で最も険悪な関係となっていた父親と1日30分だけでも話す時間を取るようにした。
そこから父親が「今までやってきたこと」「やりたかったこと」「仕事への思い」を知ろうとした。
そのような心構えで従業員や取引先を大切にしているうちに、あれよあれよという間に売り上げが3倍になっていたということです。

しかし、売り上げが伸びて喜んでばかりいられない、
当然、残業は増えるわけですが、退職者が続出し、商品へのクレームも増えてきた。
そこで、税理士、銀行、家族ら周囲の全ての反対を押し切って、5年かけて売り上げを半分に下げた。
これが「減収増益」というスタイルだったということです。
商品アイテムを減らし、営業時間を短くして、休日を増やした。
その代わり素材や製法にこだわり単価もあげた。
それとお父さんからの教えで仕入れ業者さんを大切にしない職人には絶対になるなと言われたこともあり、
値下げ交渉はしない、今は物価は上がっているのだけれど、
問屋さんには値上げは遠慮なくしてくれと言っているそうです。
でも、値上げが客離れの原因とは思わない、
値上げの原因をお客様にうまく説明できないと客離れがおきるそうで、
これは接客係の能力の能力の問題で、常にスキルを上げていかねばならないので、
従業員にとってもプレッシャーとなっているので、
「減収増益」しても従業員の仕事は減らないということです。
結果としてお客さんは減ったが、利益率は上がった、ということですが。

親子の会話の機会を増やし、明るい世の中を作っていくきっかけになればと始めた
「ドリームケーキプロジェクト」については、少しテーマが大きすぎるのでまたの機会にご紹介できれば。
「差別化ではなく独自化」「新店舗名古屋店をなぜ出したのか」
書き足りないのですが、きりがないのでここまで。

最後に「小学生が一番なりたい職業は何年も続けてパティシエが日本一、
それなのにうちもそうだが業界は人手不足だ、
これは業界自体の前近代的な構造が問題なのであり、
何とか働き手が幸せになれる環境作りの先鞭をつけたい」
と清水社長は語っておられましたが、やはり自社だけ良ければいい、などとは考えておられない、
さすがだなと思いました。

質問タイムで私は弓田亨さんについてどう思うのか聞いてみたところ、
当初修業時代は昔式の「技術は盗め」で誰も教えてくれなかったので、
弓田さんの本を読んで基本を身に着けたと言われてました。
不思議な縁を感じました。
清水社長、休日にも関わらず、貴重な割いていただき素晴らしいお話の数々本当にありがとうございました。

翌日、お土産購入時間で「菓匠shimizu」に寄り、
一押しのお菓子「ティグレ」を買って帰宅後食しましたが、
それこそ美味しく今度は通信販売で購入しようかなと思ったりしました。