有限会社ライト・ライズ(「とりの権助」や「焼肉権助」)ベンチマーク

6月17日(金)は有限会社ライト・ライズさんのベンチマークに行く。

この会社は千葉県下で「とりの権助」や「焼肉権助」など居酒屋を経営する会社で、
6月17日(金)には、北総線「印西牧の原駅」の周辺のショッピングモールにある「焼肉権助モア店」にお邪魔した。
余談になるが、印西市はGoogleが日本初のデータセンターを置くと発表した、日本のシリコンバレーと呼ばれる地域らしい。
人本経営の先進企業とIT企業が将来コラボすることになるのかななどと考えたが、この話はここまで。
13:30から途中までは志伝塾の通常講義で、その後
ライト・ライズの福祉事業部部長の梅田さん、鎌ヶ谷大仏店店長の小林さんから、
会社での実際、どのような取り組みが行われているかを聞かせてもらうことができた。
こちらの会社の寺本社長は、小林先生が開いている人本経営実践講座の第一期生でもある。
(ちなみに本日講師の梅田さんは、第3期(?)の受講生だ)
2005年にライト・ライズ1号店を立ち上げ、2号店3号店と立て続けに出店したが、
矢継ぎ早な出店に社員が疲弊し、アルバイトも数カ月で辞めることの繰り返しだったそうである。
試行錯誤の末、社員がやりがいや誇りを持てる会社にしたい、と色々な制度を作っていった。
しかし、従業員を大切に考える寺本社長の考えは、周囲では賛同者が少なく、
「綺麗ごとだ」「偽善者だ」「考えが甘い」と散々な言われようで、
人としては間違ってないけど、経営者としては間違っているのかもしれないと、
自身のやり方に十分な自信が持てなかったのだという。
人本経営実践講座に参加したことで、自分たちのあり方に自信と確信、
誇りをもつことができるようになったという。
 
そんな寺本社長を敬愛する部下の形のお話、
随分学ぶべき点が多かったので、印象に残った点をピックアップしてみる。
 
有限会社ライト・ライズの経営理念は、
「人が幸せになる在り方の追求」
「両親、友達、職場の仲間を大切に、
多くの人から応援され協力してもらえる人になるようそんな生き方をしよう」
というものであるそうだ。(スクリーンに映っているパワーポンとを走り書きしたものなので、
詳しくは間違っているかもしれない、間違っていたらすみません)
働く中で幸せになってもらいたい、仕事の悩みの約8割が人間関係であり、
これが良好でないとパワハラ・セクハラ・いじめなどの問題が生じ、
人が定着せずすぐに辞めてしまう。
だから徹底して人を大切にする、
アルバイトは月に2回、社員は毎週月曜日に研修をやる、
しかし、当初は社長の「説法」で出席者も少なかったが、
寺本社長が司会者として議題を与え、一人一人が意見を出し合う形にして、
多くの従業員が参加するようになった。
座学ではなく、現場で実際におこることを題材にして研修を行う。
雰囲気も楽しいものにして、自分が意見を言っても絶対に否定されないようにしているそうだ。
 
コロナ禍は大変ではなく、大切だったという。
ここは重要だろう、決してネガティブに外部環境のせいにしていないのだ。
確かに売り上げ減も痛手だったが、雇用調整助成金などもらって働かなくてもお金をもらえるという習慣が定着することで、
今まで築いてきた会社の文化・考え方が壊れてしまうことを恐れたのだという。
しかし、アルバイト店員たちはそんな会社の危機的状況に、
「私たちに何かできることはありませんか?」
と申し出てくれて、新鎌ヶ谷の駅前でテイクアウトを始めた。
当初は1週間くらいの約束だったが、1日目から大繁盛だったので、地権者がすぐ1か月の許可をくれた。
駅まで大声を出して呼び込みを行っている学生たちの姿に、駅前商店街の人たちから
「こんなに若い子たちが頑張っている、元気がもらえる」と言ってもらえ、
一日のどこかで見ている人からドリンクの差し入れがあったそうだ。
当初は1日1万円くらいの売る上げであったものが、7~8万円にもなり、期末には臨時ボーナスまで出したという。
それでも、コロナ禍で店舗の営業が大幅に制限されている事には変わりはない、
何をしたかといえば、毎日6時間、月に22日くらい研修をしたそうだ。
何をそんなにすることがあったのかと不思議だが、主に「言葉の定義」だそうで、
例えば店長がアルバイトに「これ、やっといてね」という指示が具体的にどうするのか、
どのような補完する説明が必要なのか、など場面場面に応じてすり合わせをしていったという、
その結果、随分現場がスムーズに動くようになったそうだ。
とにかく離職者がいない。
だから採用にかかる経費がゼロ、学生は卒業するまでに仲間を呼ぶのでこれも途切れない。
ここで働くと人間力が磨かれるから、就職も引く手あまたなのだから。
毎年何人かはアルバイトから社員になることを希望する者がいる。
あるいは大手企業に就職しながら、また戻ってここの社員になりたいと言う人もいる。
今回、講義をしてくれた梅田さんも、一旦上場企業に就職した、
確かに給料や福利厚生は申し分なかったが、社員に子供ができたり、マイホームをもつと、
即座に海外に3年間単身赴任が命じられるという制度に疑問をもった。
これでは家族がバラバラになるではないか、社員とその家族の幸せにつながるのか?
梅田さんは社長に「会社と人が共に育たない会社が永続化するんですか?」と訴えたが、
社長は黙り込んだという。
それで、梅田さんは「改めて学び直したい」とライト・ライズに戻った。
しかし、このようなことを言ってもらえる寺本社長は男冥利につきるのではないか。
 
障がい者雇用も始めたそうだ。
飲食業は障がい者雇用が結構難しい業種のはずだが、うまくやれているようだ。
例えばトイレ掃除など障がい者は健常者以上に綺麗する。
彼らは何でもできるわけではなく、できることは限られているかもしれないが、
どの仕事ができるかを考え組み合わせることで、
色んな人の長所を生かすというやり方を健常者にも取り入れることができる、
そして障がい者の人たち親御さんに感謝してもらえることが嬉しいそうだ。
 
 
 
座学の後は、焼肉権助での懇親会で料理を堪能し、接客サービスを目にすることができた。
梅田さんや小林さんも入ってもらい、共に飲み語らった。
多くの店内スタッフ皆さんが明るく楽しそうに仕事をしていて、
気持ち良いものだった。
某有名私立大学在学中に、大手企業に内定をもらいながら辞退し、
親の激怒されながら現在、仕事のやりがいと自身の成長を実感しているという小林さんは、
熱く思いを語ってくれつつ、謙虚であり自信満々でない点も好感が持てた。
 
 
寺本社長は高校卒業後の新人板前として働いていたころ、
当時の飲食業界は前近代的な旧習が残っており、随分嫌な目にあってきた。
そんな思いが現在の会社の方針に生きているそうだ。
私も20代のころ最初に新卒で勤務していた会社の理不尽なやり方に我慢できず飛び出したので、
まあ似たところはある。
私は人は雇用は一人しかしていないので、大して多くの人を幸せにしていないが、
人を幸せにする経営のお手伝いならできるかもしれないし、
それこそが使命なのではとあらためて感じたライト・ライズさんでのベンチマークだった。
		</div>
	</div>					<div id=
page-scroll-to-top