広島青全交、太田恵理子さんの分科会報告

023年第51回青年経営者全国交流会が9月14日(木)15日(金)と広島で開催され、 初日14日は第3分科会に参加、報告者は徳島県中小企業家同友会の株式会社ハビリテの代表取締役 太田恵理子さん、 テーマは「ビジョン経営の実践」でサブタイトルとして 「ありますよ!社長(あなた)を生かす経営!~自身の持つ可能性を誰よりも信じ、誰よりも爆発させよ~」 ということで、報告を聞く前から熱い想いが伝わってくる報告内容をレポートする。 太田さんは自身の妊娠6カ月の時に息子が水頭症になっていることが分かり、絶望に襲われたがInstagramの中で多くの同じ境遇のママたちと交流することで、 心の支えとなった。息子のリハビリに通う中で「障がいや病気の子を長時間あずかってリハビリもしてくれるような施設があったらいいな。」と思うようになり、 ある保育園を自分で作ったママさんの話を知って、「自分で作る」と宣言して、2018年に合同会社ハビリテ(現在は株式会社)を創業。 創業1年目の2019年度は社員7名、年商1300万円からスタートし、2023年度は見込みではあるが社員は36名、年商は1億4千万円という、まさに「急速な拡大」を続けている会社である。 太田さんは夢いっぱいで起業しあっという間に売り上げは目標額を上回ったが、社員のケンカも爆増、話し合いのたびの誰かが泣くといった状態になっていたという。 弱り果てていたところ、知り合いから同友会と指針塾を紹介され、経営理念の大切さに開眼、自分自身が変わらなければ、と心から思い、経営指針書を全社員の前で発表し土下座して謝罪、社員の中にも泣いてくれる人もいて、それ以来少しずつ会社の雰囲気も変わってきたという。 太田さんが今回の報告の中で伝えたかったことは2つ、 ①悩んだ末に「理念とビジョンを覚悟を持って社員に伝えたこと」で社内に起きた劇的な変化 でこれは上記のことである。 まず太田さんの夢は障がいに関する法律を変えたい、 そのためには政治家になるのが手っ取り早いのだが、そちらの適性はないので、政府に呼ばれる有識者になりたい、 そのためには全国的な有名人になりたいので、そのための第一歩としてこの広島青全交で (1)誰よりも早く定員数を埋める (2)1番広い部屋で発表する と宣言し、一番集客が見込める広島のキーマンを押さえた。 そして全国行脚に出立し、手と足を口をフル回転、 結果として過去を含む青全交で最大の分科会参加者数250名を集め、当然会場も一番広い会場を使用することになった。 まさに同友会活動に励むことで自身の本業を発展させた実践事例となった。 理念とビジョンを明確にし、それを口にすることで実現することができるという好例でもある。 それから太田さんがこの報告の中で伝えたかったの2つ目 ②自問自答を繰り返し、ついに辿り着いた「得意なことのみをする経営」です。そして見つけた「社長自身を生かす経営」必ずあなたも可能性を爆発させられる! というもの。 太田さんはある時まで、「経営者はこうあるべき」という思いに囚われていたという。 ◎現場に精通していなければならない。 ◎仕組みを作らなければならない。 ◎1→10に拡大させなければならない。 ◎できるだけオフィスにいなかければならない。 ◎マルチにこなせなければならない。 メンターの人に 「仕組みを作るの超苦手でやりたくないです!そもそも経営者に向いてないです!」 と悩みを打ち明けたところ、 「自分の可能性を制限しているものがあるとしたら?自分の可能性を最大化するためにできることは?自分を解放してエネルギーを最大化させるには?」 と言われ、はっと我に返り社長の仕事について考えてみた。 その結果、導き出された 「社長の仕事」とは、 「未来を描き示すこと」 「リスクと全責任を負うこと」 であり、 そのために必要なことは 「新しい情報を取ってくる」 「視座を高めて成長し続ける」 「考える」 「決断する」 であり、まずはこれらのことを全社員に伝えた。 自分は会社に留まらず外へ出て情報発信して、多くのことを吸収し見聞を広めて、それを社業の発展に生かしたいと。 みんな快く賛成してくれ、むしろ会社が有名になってくれたら採用も困らなくなりますからと言われたほどだったという。 元々苦手だった経理や総務などは事務員を雇ったり業務委託して、そのかわり公私混同せずにコンプライアンスを重視し、カレンダーを共有し自分の予定をみんな分かるようにしたという。 私は仕組みづくりを必ずしも重視すべきことではない、ことを昨年の伊那食品工業のベンチマークで聞いて、 色々考えさせられたが、今回も同じではないが何か似たものだなと思った。 結果社員が幸せになればいいのだから、所詮万能の仕組みなどあり得ない訳で、あいまいなものはそれでも良く、その場その場で修正していけばいいのかなと思ったリする。 ただ、このあたり私も十分に言語化で来ていないのだが。 この後のグループ討論でも、同友会の全国大会は参加する方のレベルが高いのでいつも大変勉強になるのだが、 今回も示唆に富む発言が多かった。 例えば、同友会の例会で聞いたことに感動してそれをそのまま導入しようとするとドン引きされることが多い。 それは経営理念が社員と共有されていないから。 それができていると制度の導入もスムーズにいく、 経営指針の方が経営者より上を行っているのだから、とかあった。 中身の濃いグループ討論であったと思う。 この「一番を目指す」報告に至るまで、報告者の太田さんと座長の株式会社ナイスリフォームの代表取締役社長 湯浅真一郎さんとは、準備のために多くの時間と手間を要したことだろう。 感謝し申し上げます。 太田さんは、社員たちのためにエステをオープンさせ、自分たちも成功体験を積ませようとしたりと、社員たちを幸福にしようという取り組みも結構しているが、太田さん自身の成長と社員たちの意識のずれが将来顕在化しないか多少不安は覚えた。 社員の幸福より自身の夢やロマンの方が勝っているように感じたから。 まあ、事情もよく知らない部外者がとやかく言うことではないし、取り越し苦労、杞憂に終わることを願う。 しかし、いかにも勢いのある若い経営者の報告で、青年経営者全国交流会にふさわしい内容だった。 太田さんはじめ多くの方との交流でき、交流会、その後の懇親会も含めて楽しい一日だった。 2日目も素晴らしい内容の講演だったが、それはまた後日書き記すこととする。