10月23日、31日と相次いで愛媛県中小企業家同友会では各委員会による学習会が開かれ招待した講師はいずれも徳島県中小企業家同友会の方であった。この二日間の学びは私にとってはとてつもなく大きく、もしかしたら今後の分岐点になるかもしれないと思いつつ、振り返ってみることとする。
10月23日は(株)サンフォートの代表取締役社長で徳島同友会会長の山城真一さんで学習会のテーマは「労使見解の学びと実践~先達に学ぶ今を生きる未来を変える~」である。「労使見解」とは「人を生かす経営 中小企業における労使関係の見解」という小冊子の略称で中小企業家同友会の神髄とされている。私も何度か間を通してみたことがあったが、正直なところなぜ、「労使見解」が重視されるのかが理解できなかった。「当たり前のことが書かれているだけじゃん」と。
私自身が長年同友会に所属しつつ「労使見解」の何たるかを全く理解していなかったことに唖然としたが、グループ討論時に某氏から「それは自身が自分事として捉えてなかったら。要するに評論家のようにとやかく言うのではなく、自分がどうするかの問題なんです。『労使見解』理解せずに経営者の報告を聞いたって、それは別に他のセミナーとかと変わらないじゃない、同友会である必要がないじゃないですか。」と言われたのは、さすがに堪えたが「例会から学ぶ姿勢」をあらためて教えられた良い機会になった。20年所属していて情けない話ではあるが。
10月31日は、(株)ハビリテの代表取締役の代表取締役で徳島同友会の青年部部会長の太田恵理子さんが報告されたが、テーマは「とことん甘えるチーム経営~ねばならないからの脱却~」であった。水頭症のお子さんが生まれたことをきっかけに障害児のためのさまざまな施設を立ち上げ、現在も急成長を続けている太田さんの軌跡は私が2年前に広島の青年経営者全国交流大会でレポートしてもらったのを見ていただければいいと思う。パワー全開のエネルギッシュな喋りは2年前同様で凄いのだが、その時以来時折同友会の様々な会合で彼女を見かけたとき、人見知りするようなはにかんだような顔つきをしているので、登壇した時の本人とギャップがあるなと思っていた。今回の報告で大学時代はバンド活動に熱中していて2留したこと、最初の就職は厨房機器メーカーの営業をしていたが、全然成果を出せていなかったこと等のエピソードをさらっと述べていて何となく彼女の素顔が分かったような気がした。案外彼女は障害児の子供を授かってなければ、普通の共稼ぎOLとして平穏な暮らしをしていたかもしれないというか、今のようなスーパーレディーではありえなかったのだろう。彼女が事業をしていく原動力は使命感であり、広島でも今回でも述べていた「自身の可能性を誰よりも信じ、誰よりも爆発させよ」というのは、太田さん自身の体験で身をもって実感しているということなのだろうと思う。では「爆発」させるための原動力は何かといえば、太田さん曰く「目的」と「覚悟」、これにつきると思う。
また、こんなことも話された。「リスク」とは何だろう?倒産するとか事業を失敗するとか、というのは恥をかいて嫌な思いをするといことだろう。でも、それは一時的なこと、少なくても今日ここにきている人たちは私が仮に事業を失敗しても笑いますか?笑う人というのは所詮何もしない人たちでそんな人など目の前から消えてくれた方がよっぽどいい、私は挑戦して失敗した人なら可愛がってあげたい、これからを支えてあげたい、と。
私は最近仕事で新しい試みをしようとしていて来年2月にスタート予定だが、「果たして自分のやろうとしていることは利他の精神なのか、利己ではないのか」とか「少なからずお金の負担もあるし、うまくいくのだろうか」とかもやもやした気分だった。しかし、この言葉で随分気分が楽になり、励まされたように感じた。
この後の懇親会は随分盛り上がり、私もしたたかに飲んだので今日も二日酔いだが、多くの人と本音で喋れたように思う。いつか太田さんと再会した時、「太田さんのあの言葉が自分の後押しになり、成果をだせてます」といった報告が出来ればなと思った。